開催概要
展覧会名 | 令和6年度文化庁首都圏伝統工芸技術作品展等開催事業 「わざの美——工芸が織りなす装飾の世界」 |
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会 期 | 2024年12月9日(月)〜12月22日(日) 会期中無休 |
開館時間 | 10:00−18:00(最終入場 17:30まで) |
会 場 | 旧近衛師団司令部庁舎 東京都千代田区北の丸公園1-1 ※展示スペースは2階東側(約300㎡)を予定 ACCESS |
観覧料 | 無料 |
主 催 | 読売新聞社 |
協 力 | 公益社団法人 日本工芸会 |
監 修 | 松原 龍一(美術史家、元・京都国立近代美術館副館長) |
お問い合わせ | 03-5226-9971 平日10時~17時 |
本展について
陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸といった伝統工芸の多様な分野から、重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)と、次世代につなぐ工芸技術を保持する作家の作品計22点を展示。無形文化財として歴史上又は芸術上価値の高い「わざ」から生み出される装飾性と、作品に込められたメッセージを伝えます。
同時開催イベント
出品作家によるトークイベントや重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)の技術を記録した映像の上映などを開催します。
出品作家トークセッションvol.1
DATE
12月15日(日)14:00~15:30
PLACE
別会場 読売新聞ビル3階「新聞教室」(千代田区大手町1-7-1)
定員
70名(先着順)
SPEAKERS
室瀬 和美
重要無形文化財「蒔絵」(各個認定)保持者
しんたに ひとみ
漆芸作家
本イベントは終了いたしました
ライブ配信も実施 ※事前予約の必要はありません
子供向けワークショップ
ABOUT
出品作家による技術解説、体験などを実施
対象年齢:小学4~6年生
DATE
12月22日(日)14:30~15:30
PLACE
展覧会の展示室内
定員
10名(先着順)
五十嵐 誠
木工芸作家
本イベントは定員に達したため
申し込み受付を終了いたしました
監修者ギャラリートーク
DATE
12月15日(日)11:30~12:00
12月22日(日)16:00~16:30
PLACE
展覧会の展示室内
定員
各回定員15名(先着順)
SPEAKERS
松原 龍一
美術史家
元京都国立近代美術館副館長
本イベントは定員に達したため
申し込み受付を終了いたしました
工芸技術記録映画(文化庁企画)の上映 展示室内
重要無形文化財保持者(いわゆる人間国宝)の技術を記録した映像。
- 「友禅-森口邦彦のわざ-」(染織・平成23年度)
- 「髹漆-小森邦衞のわざ-」(漆芸・平成24年度)
- 「鍛金-大角幸枝のわざ-」(金工・平成29/30年度)
- 「紋紗-土屋順紀のわざ-」(染織・平成30/令和元年度)
展示作品紹介
陶芸は、大きく分けて土ものの陶器と陶石を砕いて土のようにした磁土を用いた磁器に分けられます。それらは様々な素材や技法の組み合わせで呼ばれ、白磁 、青磁、色絵磁器、鉄釉陶器などで呼ばれる他、産地や地域の名称などでも呼ばれます。例えば、有田焼、伊万里焼、備前焼、丹波焼、九谷焼、京焼、益子焼などがあります。
いずれにしても土や磁土を轆轤や手捏、型成形などで形を作り、そこに装飾を施したり釉薬を掛けたりして焼成することが陶芸の基本です。
色絵雪花薄墨墨はじき雪文鉢
十四代
今泉
今右衛門
青磁堆磁線文鉢
神農
巌
碧釉漣文盤
「オーシャン エッジ」
木村
芳郎
水象紋扁壺
「みなも」
望月
集
青瓷
氷裂文鉢
津金
日人夢
染織は、染めと織りの二つの技法を合わせた言葉です。一般に染織というと染めも織りも一緒に考えられていますが、染めと織りでは技法に大きな違いがあります。染めの技法は染料や顔料を用いて制作するため化学的要素が強く、織りは経糸と緯糸の組合せで制作するため数学的要素が強いです。織りも糸染めということでは化学的要素も含みますが、制作には経糸と緯糸の組合せで模様や紋様を作り出すので数学的要素が重要です。
染織も陶芸と同様に素材や技法の組合せや産地、地域の名称で呼ばれます。例えば、友禅、経錦、紋紗、紬織、木版摺更紗、琉球紅型、越後上布、結城紬などがあります。
友禅着物
「位相市松亀甲文」
森口
邦彦
紋紗振袖
「牡丹亭」
土屋
順紀
長板中形着尺
「萩文」
松原
伸生
総絣
(打掛)
新垣
幸子
小倉縞帯
「翠変化」
築城
則子
漆芸は、木や竹、紙、布などの器にウルシの木から採った樹液を塗り制作する技法です。ウルシの樹液に様々な発色する物質を混ぜることにより色漆となり器の装飾に効果的に用いられます。また、装飾の一つとして貝殻を薄く加工して光る部分を用いた螺鈿の技法もあります。さらに金粉を器に蒔く蒔絵の技法など多様な素材と技法の組合せで美しい作品を制作します。元々は大陸から伝わった技法ですが、現在では日本にのみ古代からの技法が残っているといっても過言ではなく、世界から注目されています。
漆芸も陶芸や染織同様に素材や技法、産地や地域の名称で呼ばれています。例えば、蒔絵、螺鈿、髹漆、彫漆、蒟醬、沈金や輪島塗、津軽塗、山中塗、会津塗などがあります。
蒔絵螺鈿文箱
「天恵」
室瀬
和美
網代隅切重箱
「玄」
小森
邦衞
乾漆螺鈿神代箱
「Kalligramma」
しんたに
ひとみ
蒔絵螺鈿箱
「太陽」
浅井
康宏
金工は、金属工芸の略で金属を用いて様々な技を駆使して制作する技法で、大きく分けて鍛金、鋳金、彫金の3つがあります。
鍛金は、銅や金、銀などの金属を金槌や木槌で打って形を作り出す技法で金属の展延性や収縮性を巧に用います。鋳金は、作品原型から鋳型を作り、そこに溶かした金属を流し込んで成形する技法です。小さな文鎮から大きな銅像まで広くその技法は使われています。彫金は、金属を彫って表現する技法ですが、とくに象嵌と呼ばれる金属を彫ってそこに金や銀など別の金属を線状や面状に嵌め美しい表現を生み出します。
銀銅赤銅接合花器
「赤い海」
大角
幸枝
切嵌銀花器
「白の連山」
大沼
千尋
木竹工は、木工芸と竹工芸を合わせた言葉でその範囲は広いです。木工芸には大きく4つの技法があり、板を組み合わせて箱や机などを作る指物、鑿や鉋などで木を削ったり刳ったりしてお盆や箱を作る刳物、木材を轆轤にかけ刃を用いて成形する挽物、薄い板を熱湯で処理し、木繊維を柔らかくして成形し円筒等を造る方法と、薄い板に鋸を入れて切断することなくごく薄い繊維を残し角度をつけて曲げる曲物があります。
竹工芸は、充分に乾燥させた竹を油抜きして表皮を削ったり割ったり剥いだりして編組や組物により制作します。その技法は多様で、いくつもの技法を組合わせて美しい造形を作り出します。竹も真竹、黒竹、虎斑竹、ゴマ竹など日本国内でも600種類ありその中から作品に合わせて使われます。
朽竹達磨
四代
田辺
竹雲斎
欅梻造酒卓
五十嵐
誠
人形は、土偶や埴輪を含めれば多種多様なものが制作され存在しています。本展覧会では昭和初期に起こった人形芸術運動以降の高い芸術性を求めた人形を対象にしています。昭和11(1936)年の改組第1回帝展に人形が初入選して以後、人形の高い芸術性が認められました。
素材や技法も様々で、桐材や朴材、楠材などを用いた木彫による制作や、桐塑(桐粉を糊で練った物)で肉付けする制作、土を焼成して作る陶体の技法などがあります。いずれも木目込、紙貼り、彩色、胡粉仕上げ、衣装などの装飾により美しい作品を作り出しています。
また、人形も陶芸や染織と同様に産地や地域の名所でも呼ばれ御所人形、博多人形、京人形、駿河雛人形などの他、五月人形や雛人形、市松人形と呼ばれるものもあります。
陶彫彩色
「星夜」
中村
信喬
木芯桐塑布和紙貼
「悠久」
青江
桂子
陶彫彩色「霊獣呉爾羅」
中村
弘峰
諸工芸は、伝統工芸のなかでも陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工、人形以外の分野になります。その範囲は多岐 に渡り七宝、硝子、砡、硯、截金、象牙、和紙(屏風/墨流し)、木画などが含まれます。また分野によっては古墳からの出土物や正倉院宝物として今日に伝世されるものがあり、何れも長い歴史と伝統があります。
今回は諸工芸の中で截金ガラスの作品が出品されているため、截金について説明します。
截金は飛鳥朝以来の長い伝統をもつ技術で、正倉院宝物にも見られます。日本では、主に仏画や仏像や木工芸品の装飾として用いられており、1ミクロン (1000分の1ミリ) 以下の厚みの金、銀の箔を極細の線や矩形などに切ってそれを接着剤で貼り付けて文様を施します。出品作品は、繊細な技術を要する截金を、ガラスに内包させ永遠に定着させています。
「渦」
山本
茜
ACCESS
旧近衛師団司令部庁舎
東京都千代田区北の丸公園1-1
- 東京メトロ東西線「竹橋駅」1a、1b出口より徒歩10分
- 東京メトロ東西線・半蔵門線・都営新宿線「九段下駅」2番出口より徒歩11分
- 半蔵門線・都営新宿線・三田線「神保町駅」A1出口より徒歩16分
施設には駐車場はありません。周辺にある有料駐車場をご利用ください。